2768.今日の植物(2251):イベルビレア
イベルビレアは、ウリ科 Ibervillea 属(イベルビレア属)の植物で、The Plant Listによれば、この属に分類される種は8種ということですから、小さな植物群ということになります。
ウイキペディアの情報によりますと、 Ibervillea 属の植物は、アメリカの南部諸州からベリーズ、メキシコを経てグアテマラに至る地域を原産地とするということです。
切手に描かれている Ibervillea lindheimeri種について、ネットに情報がありました。 それによりますと、この種はテキサス、オクラホマ、ニューメキシコの各州およびメキシコ北東部に自生しているということです。 落葉する蔓性の植物で、葉には深い切れ込みがあり、大きな根茎を持ちそれが長期の乾燥にも耐えることを可能にしているということです。
写真にも見えますように、雌株には小さなオレンジ色から赤色の魅力的な実をつけます。その実を楽しむのでしょうか、通販でも販売されているようです。
属名の IbervilleaはPierre Le Moyne d'Iberville氏(1661~1706年)に因んで命名されたのだそうです。そのI氏ですが、ウイキペディアでは、a soldier, ship captain, explorer, colonial administrator, knight of the Order of Saint-Louis, adventurer, privateer, trader, member of Compagnies Franches de la Marine and founder of the French colony of Louisiana in New France(兵隊、船長、探検家、植民地の監督者、Saint-Louis勲章受章者、武装民有船(所有者)、商人、Compagnies Franches de la Marine社のメンバー、フランス領ルイジアナ創立者?)とまあ多くの肩書、履歴を記してありました。すごい人だったようです。
植物に戻って写真です。 ネットから借用しています。
この写真を見ていて、オキナワスズメウリのことを思い出しました。ウリ科の植物にはカラフルな実をつけるものがあるのですね。
イベルビレア・ インデイメリ Ibervillea lindheimeri
切手です。これもこれまで2回登場したのと同じセットで発行されたものです。
イベルビレア・インデイメリ Ibervillea lindheimeri
2020年 スリナム発行(花)
2766.今日の植物(2250):エキノキスティス
エキノキスティスは、ウリ科 Echinocystis 属(エキノキスティス属)の植物で、切手に描かれているEchinocystis lobata種1種だけの、1属1種の植物です。
この植物は、北米原産で、英語名はwild cucumber(野生のキュウリ)とされています。
ウイキペディアの情報によりますと、この植物は雌雄同株、つまり雌花、雄花が同じ株につきます。果実には棘があり、その点はキュウリやスイカ(スイカにも棘のあるものもあるようです)に似ているのですが、食用にならない点が違っているのだそうです。
しかし、北米大陸では古くから薬用植物として利用されてきたといいます。ニューメキシコの原住民はリュウマチの治療薬として、ウィスコンシンの原住民はその根から苦みのある成分を抽出して鎮痛剤やlove potion(惚れ薬?)として利用してきたとのこと、有用な植物だったのです。
写真です。これも手元にありませんでしたので、ネットから借用しています。
エキノキスティス・ロバタ Echinocystis lobata
切手です。
エキノキスティス・ロバタ Echinocystis lobata
2020年 スリナム発行(花)
2766.今日の植物(2249):オランダフウロ
オランダフウロは、フウロソウ科 Erodium 属(オランダフウロ属)の植物で、The Plant ListではErodium 属には140の種が分類されていました。
ウイキペディアの情報によりますと、この属には約60の種が含まれるとされていて双方にはかなりの違いがありますが、北米、インドシナ、中東およびオーストラリアと広い地域に自生し、花弁は5枚、白やピンク、紫いろの花をもっているということです。
植物分類の大家リンネ氏は、Geranium(フウロソウ)属に、現在のErodium(オランダフウロ)属、Geranium(フウロソウ)属、Pelargonium(テンジクアオイ)属の3つの属を含めていたのだそうです。その後、雄蕊の数の違いにより、 5本(本属)、7本(Pelargonium)、10本(Geranium)と3つの属に分けられるようになったようです。
面白いのは、この3つの属は鳥のくちばしのような種子をつけるといった共通点を持っており、3つの属名もギリシャ語由来で、Geranium ( geranos:ツル)、 Pelargonium (pelargos:コウノトリ)、Erodium (erodios:アオサギ)といずれも鳥の名前から来ているところです。
切手に描かれているErodium cicutarium種は、もともとはマカロネシア、ユーラシア大陸の温帯部、アフリカ北部および北西部に自生する種だっのですが、その後18世紀に北米に持ち込まれ現地で自生化し、特にアメリカの南西部の砂漠地や草原に広がったということです。
ウイキペディアにこのErodium cicutarium種が種子を拡散するのに2つの方法を持っているということが記されていました。
その一つは種子を弾き飛ばすという方法、もう一つは種子そのものが地中にもぐっていくという方法なのだそうです。いずれも環境の湿度により影響を受けるのだとされていました。
写真です。手元にありました。
オランダフウロ Erodium cicutarium
撮影:2003年7月27日 大阪市「花博記念公園」
●右がその種子です。こちらはネットから借用です。
エロディウム・マネスカヴィ Erodium manescavi
撮影:2004年6月19日 西宮市「北山植物園」
切手です。
オランダフウロ Erodium cicutarium
2020年 スリナム発行(花)
●一緒に発行された切手はこちらです。⇒切手植物図鑑
●スリナムは、1975年のオランダからの独立以来、長期にわたって植物切手を発行している国です。地域に固有の植物なども取り上げられていて、今後どんな植物が取り上げられるか楽しみなシリーズです。
(お知らせです)
同じフウロソウ科ですが、Sarcocaulon(サルコカウロン)属の写真がありましたので記事に追加しました。あまり良い写真ではありませんが、自分で撮った写真ですのでこれを見つけてちょっと嬉しいところです。
⇒サルコカウロン
2765.今日の植物(2248):バルビシア
バルビシアは、フウロソウ科 Balbisia属(バルビシア属)の植物で、The Plant Listでは11の種が掲載されているだけの小さな植物群ということになります。
ウイキペディアの情報によりますと、この属の植物は、南米のアルゼンチン、ボリビア、チリ及びペルーといった地域に分布しているということです。
切手に描かれているBalbisia peduncularis種について調べてみました。それによりますと、この種はチリに固有の植物のようで、チリの海抜2000メートルの高地にまで広く分布しているようです。黄色の花を持ち、乾燥した環境でも生育することができて花壇の花としても人気のある植物のようです。
このBalbisia属の分類については、いろいろな情報がありました。
クロンキストの分類体系ではフウロソウ科に分類されるのですが、APGの分類体系では、Vivianiaceae(ビビアニア科:The Plant List)やFrancoaceae(フランコア科:英語ウイキペディア)、Ledocarpaceae(レドカルパ科:日本語ウイキペディア)に属するとするものがあって、どれが正しいのかよく分からないのです。
属名のBalbisia は、Giovanni Battista Balbis(1765 ~1831)というイタリアの植物学者、政治家に因んで命名されたのだそうです。
種小名にbalbisiana(多分彼に由来するものだと思われます)を持つ植物もあって面白いです。
写真です。これもネットからお借りしています。
バルビシア・ペドゥンクラリス Balbisia peduncularis
切手です。1枚ありました。
バルビシア・ペドゥンクラリス Balbisia peduncularis
1985年 チリ発行(普通切手)
●この切手と一緒に発行されたセットはこちらです。⇒切手植物図鑑
植物を描いた切手4種と動物を描いた切手8種のセットとなっています。
●種小名のpeduncularisもよく使われるものですが、「花柄(花を支える茎のことです)のある」という意味です。
ついでに、種小名にbalbisianaを持つ切手が手元にありましたので、ご紹介します。パイナップル科ティランジア属の植物です。
ティランジア・バルビシアナ Tillandsia balbisiana
2764.今日の植物(2247):シンバリア
シンバリアは、ゴマノハグサ科 Cymbaria 属(シンバリア属)の植物で、The Plant Listによりますと、この属に分類される種は5種だけという小さな属です。
ウイキペディアの情報によりますと、この属の植物は、ウクライナ、ロシア、カザフスタン、モンゴル、中国北部から満州といった地域に分布しているということです。
いずれの種も他の植物の根に寄生して栄養分を吸収しながら、また自身でも光合成をおこなう半寄生植物です。
切手に描かれているCymbaria daurica種は、モンゴルやロシアの乾燥した山の斜面や草原の砂地に生育しているといいます。またこの種は、モンゴルでは薬用植物として広く利用されているという情報もありました。乾癬などの症状の治療に使われるのだそうです。
Cymbaria 属は、新しい分類体系ではハマウツボ科に分類されています。
写真です。ネットから借用しています。
ウスギヌソウ Cymbaria daurica
●ウスギヌソウという和名がつけられていました。あまりなじみがない植物のように思われますので、和名を持っていることはちょっと意外でした。
●右の写真、広々とした辺りの様子が感じられいい写真です。
●種小名のdauricaは「ダフリア地方(バイカル湖からモンゴルに至る地域)の」という意味です。
切手です。
ウスギヌソウ Cymbaria daurica
2019年 モンゴル発行(モンゴルの風景)
●この切手は、アルネビア(以前クウエートから発行された普通切手のセットに入っていた属です)を描いた切手と同じセットで発行されました。こちらです。⇒切手植物図鑑